なるべく抜かない治療方針
「歯科治療=痛い=怖い」
そんな印象をお持ちの患者さまも多いのではないでしょうか?
院長も子どものころ、痛む歯を押さえてたった一人で緊張しながら歯科医院の門を叩いたことがありました。しかし、そのときの歯科医師の心ない対応によって受診できませんでした。このように傷ついた経験から、当院では『患者さまにやさしい歯科医院であり続ける』ことを理念としています。
当院ではできるだけ抜かない非抜歯治療を目指しているので、抜歯に対する不安や疑問をお持ちの方も安心してご相談ください。
大人のフッ素塗布
フッ素塗布は子どもが行なうものと思われていませんか?
区役所などで実施される1歳半検診、3歳児検診などでは、希望者に対して有料でフッ素塗布が行なわれています。当院でも定期的にフッ素塗布のための来院をお勧めしています。
フッ素塗布は子どもが行なうものというイメージをお持ちの方が多いと思われます。 たしかに、子どものフッ素塗布は重要です。生えたての歯は永久歯のように成熟しておらず、細菌に弱い状態です。そのため、フッ素を定期的に継続して塗り、歯質を強化して細菌に負けない強い歯を育てることが大切です。
しかし、大人にもフッ素塗布は効果的です。
ご家族の方がお子さまに食べ物を与えるとき、口移ししたり、口をつけたスプーンを使ったりすると、虫歯菌がうつってしまいます。そのため、口移しやスプーンの共有を避け、キシリトールガムを噛んだり、フッ素塗布を受けるなど、細菌を少ない状態にしておきましょう。
中高年層になると、歯周病が進行しやすくなり、歯と歯の間が広がってそこに虫歯を発症しやすくなります。また、歯ぎしりをする人は知覚過敏を発症しやすくなります。これらにもフッ素塗布が効果的です。 さらに年齢が上がると、歯周病の進行とともに歯肉が痩せ、歯の根元の方にあるセメント質(歯根の表面を覆う組織)が露出しやすくなります。ここは非常に虫歯になりやすい部分なので、フッ素塗布で歯質を強化しておくことをお勧めします。
フッ素は、きれいに歯磨きしていただいた後、または歯科医院で歯をきれいにさせていただいた後、簡易防湿してから塗布します。塗布してから30分は、うがいや飲食をしないでください。
フッ素塗布は一般的には自費診療となりますが、当院では無料で行なっています。ご希望の方は、治療に来られたときに受付までお気軽にお申し出ください。
当院ではフッ素イオンを導入する際に、パイオキュアーを利用したフッ素イオン導入または歯面塗布に利用できる、う触予防(虫歯予防)用フッ化ナトリウム液、フッ化ナトリウム液ネオを使用しております。
虫歯治療
誰でも口の中には多くの細菌がいます。細菌は口の中の糖分をえさとして増え、酸を出しますが、その酸によって歯が少しずつ溶けてしまうのが『虫歯』です。
虫歯は、進行の段階によってC1からC4(※)に分けられ、各段階で症状と治療方法が異なります。
※『C』は、虫歯という意味の『Caries』(カリエス)の頭文字。
C1
歯の表面にできた初期の虫歯で、自覚症状はありません。
ごく初期であれば歯磨き指導とフッ素塗布を行ない、それ以外は、虫歯を削ってレジン(プラスチック)で補います。
C2
歯の表面から内面まで進んだ虫歯で、冷たいものや甘いものがしみます。
虫歯を削って、金属やセラミック(陶材)などの詰め物で補います。
C3
さらに進んで神経まで達した虫歯で、ズキズキ痛み、熱いものもしみるようになります。
虫歯を削り、神経を取って根管治療(※)を行ない、金属やセラミックなどの被せ物で補います。
C4
歯の上部がなくなり、歯根しか残っておらず、神経が死んでしまっているので痛みはありません。
歯を残せる場合は根管治療を行ない、抜歯が必要な場合は、抜歯して入れ歯やインプラントなどで補います。
虫歯は、口の中の細菌と食べ物の中の糖分によって発症しますが、正しく歯磨きすれば細菌と糖分を減らすことができます。正しい方法で歯を磨き、細菌と糖分を増やさないようにしましょう。
※歯の神経を取って根管を洗浄・消毒して薬剤で密封し、被せ物で補う治療
根管治療
歯の中の歯髄(神経や血管の束)が通っている部分を根管といいます。『根管治療』とは、歯髄を取った後に根管の中の洗浄や消毒などを行なって薬剤を詰めて密封し、被せ物で補って根管の中の痛みや炎症などを抑える治療です。これを行なうことで、歯を残すことができます。
根管治療は、主に以下のような症状があるときに行ないます。
- ・虫歯が歯髄まで進行していたり、歯根の周りの歯肉が炎症を起こして、歯髄を除去したとき
- ・虫歯が歯髄の近くまで進行し、歯髄を残す治療を行なった場合、治療後に激しい痛みや強くしみるなどの症状が懸念されるとき
- ・一度根管治療を受けたが、予後が悪く再治療となったとき
根管治療にかかる時間は、炎症の状態や根管の形状によって大きく異なります。根管の形状は人それぞれ異なり、歯根と同じくまっすぐで簡単に治療ができる方もいれば、枝状に細かく分かれ治療が難しい方もいます。
炎症を起こしておらず、形状に問題がなければ1~2週間、問題があるときには2~3ヵ月かかることもあります。
このように複雑な形状の根管があるので、当院ではマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)や拡大鏡を使って治療をおこなっています。マイクロスコープを使うと、患部を20倍ほどに拡大して見ることができるので、肉眼では確認できない細部の問題点を把握することができ、さらに精密で高度な治療を行なうことができます。
歯周病治療
歯周内科治療
薬で治す歯周内科治療
『歯周内科治療』は、薬を内服して口の中の細菌・真菌(カビ)を除菌し、歯周病を治す方法です。
口の中には300~700種類の細菌・真菌がいるといわれていますが、人それぞれ種類や数が異なるので、『位相差顕微鏡』という細菌をはっきりと見られる顕微鏡を使って、その方の口の中にいる菌の種類や数を調べ、それに合った薬を使って効果的に除菌を行ないます。
また、薬の内服と並行して歯石の除去も行ないます。それにより治療の効果が高まり、約90%以上の患者さまに歯周病の改善がみられるようになります。
位相差顕微鏡を使っての検査
効率的な歯周内科治療を行なうために欠かせないのが、『位相差顕微鏡』です。
口の中の細菌・真菌(カビ)は無色透明な細胞なので、一般的な顕微鏡でははっきりと見ることができません。しかし位相差顕微鏡であれば、コントラストをつけて明暗を強くすることで、菌をはっきりと見られるようになるので、種類や数を把握することができます。これらはもちろん患者さまにもご確認いただけます。
検査の方法は、患者さまの口の中の歯垢を少しだけ取り、それを位相差顕微鏡で観察するだけです。ほとんどの患者さまの口の中に菌がいますが、日ごろそれらを意識している方はほとんどいらっしゃいません。そのため、自分の口の中にいる菌の様子を見て驚き、歯周病への認識が変わる方もいらっしゃいます。
位相差顕微鏡で見ると、現在の菌の状態や治療方法を把握できるだけでなく、治療後にどれだけ菌が減ったかを目で見て確認できるので、治療の効果がわかりやすいというメリットもあります。
いくら薬で治せるとはいえ、自分に合わない薬を使ったのでは意味がありません。自分に合った薬を使って効率的に治療するためにも、位相差顕微鏡を使った丁寧な治療が大切なのです。
歯周外科治療
外科手術で治す歯周外科治療
『歯周外科治療』は、外科手術を行なって歯周病を治す方法です。
歯周病は、歯磨きや歯石除去など基本的な治療を行なうことで改善するものです。しかし、歯肉の内部に歯垢・歯石・付着物が大量に入り込んでいるときや、歯周ポケット(歯と歯肉の境目)が非常に深いときは、基本的な治療だけでの改善が困難なこともあります。
そのため、スケーリング(※1)やルートプレーニング(※2)の後に改めて検査し、外科手術を行なうことで、下がった歯肉や深くなった歯周ポケットを改善することができます。
※1 歯肉の縁の部分の歯面から歯垢・歯石・付着物を取る処置。
※2 スケーリングが終わった後、歯肉の内部に溜まった汚染されたセメント質(歯根の表面を覆う組織)を取り、歯根の表面を滑らかに仕上げ、歯垢の再付着を防ぐ処置。
歯周外科治療の種類
主な歯周外科の治療には、以下のような種類があります。
歯周ポケット掻爬術
歯周ポケットの深さが4~6mm程度の場合に行なう処置で、スケーリングやルートプレーニングと同じ器具を使うので、歯肉切開の必要はありません。
麻酔を行ない、歯周ポケットの内部の汚染されたセメント質、歯根に付いた歯石などを取り、歯根の表面を滑らかに仕上げます。
歯肉剥離掻爬手術
歯肉を切開して、奥深くの汚れを取る手術です。
歯肉を切開して歯槽骨(歯を支える骨)から剥がし、汚染されたセメント質、歯根に付いた歯石などを取り、歯根の表面を滑らかに仕上げます。歯根の表面を滑らかにした後、殺菌・消毒し、歯肉を縫合して歯周ポケットが浅くなるようにします。